大熊町復興支援構想の検証
高付加価値農業ハウス栽培、灰溶融施設、未活用エネルギー利用熱電併給施設、EV充電管理シェアリングシステム
- 大熊町
- エネルギー
- 実施年度:
- 平成31年度
- 事業者名:
- 代表事業者:株式会社クレハ環境
共同事業者:株式会社エックス都市研究所、株式会社エイブル
背景(現状)
その地域で何が問題でなぜその事業をしたのか
福島県双葉郡大熊町では、東日本災害からの復興に向け、基幹産業である農業再生を目的としたバイオマス活用事業を検討してきた。この事業と連携し、エネルギーと経済の地域循環を実現させるため、未活用資源を活用した熱電併給の整備と、そこから供給されるクリーンなエネルギーを用いた脱炭素型産業を提案し、その効果を検証するためのFS事業を行った。
概要
どんな事業をしたのか
復興再生計画・帰還促進を支援するため、地域エネルギー循環システムを計画し、事業効果と課題を取りまとめた。具体的には、①滞留プラスチック等の未活用エネルギーを回収し、安定的にエネルギーを供給する熱電併給施設計画、②高付加価値農業ハウスの事業計画、③PPS事業計画と町内外住民への電力供給について、全体計画の事業性と脱炭素化評価を実施した。
成果
背景(現状)を受けどのような成果が得られたのか
町のバイオマス活用事業支援と未活用エネルギー熱電併給計画との連携により、年間削減量28.7千トン-CO2の脱炭素効果が得られ、事業全体のIRRは5.6%となった。また、EVシェアリングなど、町の新たなインフラを考える検討材料を提示した。
課題
得られた成果から何が課題なのか
大熊町復興計画において、農業再生は最優先事項である。本FS事業では、高付加価値ハウス栽培事業と未活用エネルギー熱電併給施設を連携させることで、全体の事業性は黒字化することを示した。
一方、ハウス栽培事業単体では赤字となり、熱電併給事業での収益で支援する形となった。
産業振興・雇用創出効果が期待されるハウス栽培事業では、安定した収益が見込まれる農業と、クリーンエネルギーの安価で安定的な供給を確保する必要がある。スマートハウス農業(自動化・機械化・AI、IoTを活用)の実証試験等も踏まえ、高い生産性が見込まれる次世代農業に取り組み、各事業が独立して事業運営できる体制が望まれる。