福島の環境再生の取組と復興のあゆみ国連気候変動枠組条約
第29回締約国会議(COP29)
県外最終処分・再生利用
県外での最終処分に向けては、最終処分量の低減を図ることが重要です。このため、安全性の確保を前提としつつ、減容技術等の開発や、除去土壌の再生利用に関する実証事業等を実施するとともに、全国での理解醸成活動に取り組んでいます。
県外最終処分、再生利用の基本的考え方
- 福島県内で発生した除去土壌等については、中間貯蔵開始後30年以内(2045年3月まで)に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずることと法律で規定。
- 県外最終処分の実現に向けては、除去土壌の再生利用等による最終処分量の低減が鍵。
平成28年に策定した「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略」及び「工程表」に沿って、減容技術の開発、再生利用の実証事業、全国民的な理解醸成等を着実に進めている。 - 令和6年度は戦略等の目標年度であり、これまでの取組の成果や、国内外の有識者からの助言等も踏まえ、再生利用・最終処分の基準省令や、最終処分場の構造・必要面積等の検討を進めている。
- 令和6年3月19日に閣議決定された「『第2期復興・創成期間』以降における東日本大震災からの復興の基本方針の変更について」において、「再生利用先の創出等については、関係省庁等の連携強化により、政府一体となった体制整備に向けた取組を進め」ることや、「令和6年度の後に空白の期間が生じないよう、それまでの検討結果を踏まえ、福島県外での最終処分に向けた令和7年度以降の取組の進め方を示していく」とされた。
減容・再生利用技術開発戦略
- 減容・再生利用の推進に当たっては、2016年に策定し、2019年に見直しを行った「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略」及び「工程表」に沿って、具体的な取組を進めている。
減容・再生利用技術開発戦略
福島県内における再生利用実証事業の概要
- 2018年4月に計画認定された飯舘村の「特定復興再生拠点区域」において、除染による発生土(除去土壌)を再生資材化して盛土材として使用し、その上に覆土をして、農地として利用する実証事業を実施中。
- 2021年4月から約22haの大規模な農地盛土造成に着手し、農地造成盛土工事が完了した工区から、順次栽培 実験や水田試験等を実施中。
- さらに、道路整備での再生利用について検討するため、 2022年10月から中間貯蔵施設内における道路盛土の実証事業にも着手。
- これまで福島県内での再生利用の実証事業を通じて安全性等を確認してきた。
- これらの成果等を踏まえ、福島県外においても実証事業を検討中。
- 実証事業等で得られた知見やIAEAが実施する専門家会合での議論を踏まえ、今後再生利用に係る基準等を策定予定。
県外最終処分に関する検討について
- 県外最終処分に向けては、技術開発戦略に基づき、これまでに分級処理技術や熱処理技術等の減容技術等の実証事業を実施。
- 現在、これまでに実施されてきた減容技術等の実証事業の成果を整理し、有識者に御意見を伺いながら 減容技術等の評価、及び、減容技術等の組合せを検討中。
- また、想定される放射能濃度等を踏まえ、最終処分の基準省令の検討を進めているところ。
- これらの検討を踏まえて、最終処分場の構造・必要面積等に関する案を複数とりまとめることとしている。
IAEAによる除去土壌の再生利用と最終処分等に係る環境省の取組に対する国際的な評価・助言
- 環境省の要請により、今後の除去土壌の再生利用と最終処分等に係る環境省の取組に対し、技術的・社会的観点から国際的な評価・助言等を行う目的で、国際原子力機関(IAEA)が除去土壌の再生利用等に関するIAEA専門家会合を令和5年度に計3回開催され、本年9月10日に、本会合の成果を取りまとめた最終報告書がIAEAから公表されました。
- IAEAの最終報告書の要旨(Executive Summary)において、
- 再生利用及び最終処分について、これまで環境省が実施してきた取組や活動はIAEAの安全基準に合致している。
- 今後、専門家チームの助言を十分に満たすための取組を継続して行うことで、環境省の展開する取組がIAEA安全基準に合致したものになる。これは今後のフォローアップ評価によって確認することができる。
が結論として述べられております。 - 本最終報告書における助言等も踏まえ、環境省では除去土壌の再生利用や最終処分の基準案の検討を進めるとともに、県外最終処分に向けた取組を推進していきます。