震災、あれから11年、そしてこれから。(葛尾村の取組)
11years after the Great East Japan Earthquake and the Future. (Projects in Katsurao Village)
葛尾村
KATSURAO
2023年 村制施行100周年を迎える葛尾村は、阿武隈山系に属し双葉郡の北部に位置する人口約1,500人(震災前)の小さな村。面積の8割強を森林が占め、村の集落は河川沿岸に形成されています。自然が豊かで、農業・畜産が主要産業でした。
2011年3月11日 東日本大震災
葛尾村では、津波による被害はなし。その他道路の損傷、建物の半壊、公共施設敷地の法面崩落など、インフラの損傷が目立ちました。
震災前の葛尾村
昔から、集落の人たちが相互に支え合い、協力しながら農業や生活を営んできました。そうした相互扶助の精神「結(ゆい)」の文化を色濃く残す温かな人と豊かな四季が魅力の村。村民の約30%が「松本」という同じ名字であることから、皆が名字ではなく、名前で呼び合います。
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葛尾村の文化
葛尾大尽屋敷跡江戸から明治時代の約200年間にわたり、この地で栄えた豪商「松本一族」の邸宅跡。この場所で当時公演されていた能・狂言を再現する取り組みが、2019年から始まりました。
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葛尾村の行事
かつらお感謝祭葛尾村の秋の風物詩として定着したイベント。様々なアーティストや太鼓の披露ほか、大鍋ふるまいや新そばの提供などで毎年多くの人で賑わいます。震災で中断していましたが、2017年に復活しました。
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葛尾村の記録
死亡事故ゼロ連続達成日数 日本一葛尾村は、交通死亡事故ゼロが1965年から2001年までの36年にわたり13,261日という日本記録を樹立。村の中心部には「交通死亡事故ゼロ13,000日達成の村」という大きな看板が設置されています。
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葛尾村の特産品
凍み餅阿武隈地方特有の保存食。ごんぼっぱ(山野草)をつなぎに、もち米とうるち米をついて、成形し、切断したのち、いったん水に浸して真冬の乾燥した北風で凍らせた葛尾に古くからある名産品です。
震災直後の葛尾村
震災後、余震が続いたため、3月11日午後5時、村は一部の施設を一時避難所として開設し、村内の高齢者を中心に最大160名以上が避難。2016年6月に一部を除く避難指示が解除されるまで5年以上もの間、葛尾村民は避難生活を余儀なくされました。
震災から3日後、放射線被害から村民を守るため、国からの指示を待たずに当時の村長(松本允秀氏)が全村避難を決断し、村民は福島市の「あづま総合運動公園」の体育館に避難しました。
翌日に福島第一原発2、4号機が相次いで爆発。風に乗って北西方向へ流れた大量の放射性物質が、同日午後村に飛散したと見られ、危機一髪のところでした。この決断が後に評価され、日本人として初めて「グリーンスター賞」を受賞しました。
避難所での生活
村は原発から100㎞以遠の更なる避難を決定し、3月15日に会津坂下町へ避難しました。その後、会津坂下町及び県内外の避難先から柳津町、三島町、西会津町、金山町、只見町などの旅館・ホテルへ二次避難しました。
「2013年グリーンスター賞」授賞式の松本村長
国連人道問題調整事務所(OCHA)と国連環境計画(UNEP)およびグリーンクロスインターナショナル(GCI)が平成21年に設立し、自然災害、大事故、紛争などによる環境危機を阻止することや危機への準備あるいは対応に優れた活動をされた方々に贈られる賞。松本村長は2013年に危機対応部門で受賞。
現在の葛尾村
2016年6月12日に避難指示が解除されてから、胡蝶蘭、ニット製造などの新たな産業や自転車競技レース「ツール・ド・かつらお」等が生まれ、復興に向けた歩みが進んでいます。2022年6月12日、帰還困難区域が設定された自治体では初めて、居住を前提とした避難指示の一部解除が実施されました。
同時期に開催された村内のイベントには岸田首相が参加し、村の復興の様子を視察しました。
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新たな行事
ツール・ド・かつらお2018年6月からスタートした公道自転車レース。2日間で4種目を競う。毎回日本代表レベルを含めた大勢のサイクリストが参加するメジャーな大会として認知されつつあります。
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新たな施設
葛尾村復興交流館 あぜりあ2018年6月にオープンした交流施設。復興のシンボルとして、つながり・絆を深めるための活動や交流を推進。村内の観光情報や道路情報の提供から、村内の物産品を販売しています。
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営農再開の象徴
クリムゾンクローバー村農業再生協議会が農地保全管理の一環として緑肥となる草花を土にすき込み耕すことで圃場の地力回復を図るとともに、葛尾の新たな観光名所づくりとして実現。毎年5月下旬頃に見頃を迎えます。
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新たな産業
胡蝶蘭2018年1月 地元農家らが合同で設立した農業法人「かつらお胡蝶蘭合同会社」が質の高い胡蝶蘭を村内で栽培し、首都圏などの市場に出荷。高級花卉として収益性が高く、雇用を生む事業に発展しています。
現在の葛尾村
エコ・コンパクトビレッジ
葛尾村では、自然と共生し、一人ひとりの笑顔がみえる、持続可能なふるさとを目指す「エコ・コンパクトビレッジ」を村の将来像のスローガンに掲げ、再生可能エネルギーを活用した地域活性化に取り組んでいます。
葛尾村スマートコミュニティ事業(事業主体:葛尾創生電力株式会社)